塩の道

日本海側から太平洋側へ、古くは塩や海の物を運ぶための交易路だった塩の道。村内の各コースはいずれも保存状態がよく、整備も行われているので安全にトレッキングを楽しめます。大網峠越えや地蔵峠越えは本格的な「登山」となりますので、しっかりとした装備と余裕をもった行動時間が必要になりますので、十分にご注意下さい。


千国越えルート


「塩の道祭り」でも歩かれ、モデルコースの中で最も整備されており安心して歩ける道です。牛と牛方が一緒に寝泊まりした「牛方宿」や「千国番所跡」「小谷村郷土館」など、往時の文化や歴史に触れるポイントが多く、塩の道の入門には最適のコース。行程全体が下り坂となる松沢口からのスタートがおすすめです。

前山百体観音
親坂の登り
県宝指定 牛方宿
千国諏訪神社
小土山石仏群

行程

栂池高原松沢口
約20分 約25分栂池高原の外れにある松沢口をスタート。前山百体観音から北アルプスの山々を望みながら平坦な道を進むと、県宝に指定されている牛方宿へ到着します。
牛方宿
約35分 約55分牛方宿から錦岩・牛つなぎ石などを通過し親坂を大きく下ります。やがて、千国の集落を通り過ぎると千国の庄史料館(千国番所跡)に到着します。
千国の庄史料館
約65分 約50分千国番所跡から舗装路を進み、千国諏訪神社・源長寺を通過すると黒川沢を渡ります。そこから牧歌的な風景の中を歩くと大別当地区に到着します。
大別当
約60分 約60分大別当地区の電柵をくぐり、林の中を大きく下って鍾馗様・小土山石仏群を通過、さらに山夜坂を下れば国道148号沿いに建つ小谷村郷土館に到着します。
小谷村郷土館

詳細


大峯越えルート


大峯越えコースは和平別れから高町越えコースの始点を結んでいます。7年に一度行われる諏訪大社の薙鎌打ち神事道でもあり、諏訪信仰にまつわる遺構が多く見られ、古の雰囲気が味わえます。幾つかの集落を結ぶ道は小谷村らしい雰囲気を残しつつ、洒落たカフェや店舗などを同時に楽しめるコースです。

大宮諏訪神社の石仏群
ガニ原付近を歩く
土谷諏訪神社
大峯峠への登り
大峯峠から中谷への下り

行程

小谷村郷土館
約70分 約60分小谷村郷土館を出発すると和平の分かれから宮本橋を渡り、番場・御頭岩などを経て緩やかに登るとガニ原に到着します。途中、やや道が分かりにくい所があります。
ガニ原
約45分 約30分ガニ原からは舗装路を緩やかに登り、中通から静かな傍道を進むと大きな腰かけ杉が目印となる土谷諏訪神社に到着します。ここは休憩適地となっています。
土谷諏訪神社
約20分 約10分土谷諏訪神社から舗装路を横切り、やや急な小径を登っていくと石仏が建つ大峯峠に到着します。周辺には峠の上を流れる土谷堰を見ることができます。
大峯峠
約70分 約90分峠からは舗装路を何回か横切り、一気に下ると長崎(バス停)に到着。さらに県道を進むと市場(中谷局前郵便局)に到着します。高町越えを歩く方はこちらまで。
市場(土谷局前バス停)

詳細


高町越えルート


古くは大和王権時代より、姫川で採取されたヒスイを全国へ運び出す際に使用されました。また、諏訪大社御柱祭りの前年に行われる薙ぎ鎌打ち神事の舞台となるなど、見所が多いルートです。風雨鎮護を願い、信越国境にある御神木に薙ぎ鎌を打つ際の奉献品が通ることから、諏訪信仰が色濃く残る道になっています。

埋橋へと続く道
中谷諏訪神社
銭上平付近を歩く
高町峠への登り
高町峠

行程

市場(中谷局前バス停)
約10分 約10分市場から中谷川を渡り、耳尾沢沿いの道を進むと僅かな距離で高町越えコースの入口となる耳尾沢口に到着します。古い大きな砂防堰堤が目印です。
耳尾沢口
約60分 約40分耳尾沢口から急な山道を登ると明才堰跡を通過します。そこからは緩やかな道となり、僅かに進むと埋橋薬師堂に到着します。ここには簡易トイレが設置されています。
埋橋薬師堂
約60分 約65分埋橋から緩やかに登り始めると銭上平を通過、戸井笠沢から高町峠までは急な登りが続きます。峠から尾根道を下るとやがて深原集落に到着します。
深原口
約25分 約35分深原集落からは舗装路を一気に下って北小谷駅へ向かいます。なお、地蔵峠方面へ向かわれる方は、深原集落から下らず地蔵峠登山口へ向かって下さい。
JR大糸線北小谷駅

詳細


石坂越えルート


小谷村の姫川西岸に点在する集落を結んで北上するのが石坂越え。対岸に雨飾山を望みながら、各集落と二つの峠を越えて進んでいきます。また、砂防のメッカと呼ばれる小谷村の砂防事業をよく観察できる道でもあり、浦川橋から望む稗田山大崩落と直轄砂防堰堤群は圧巻!様々な視点から楽しめる変化に富んだコースです。

石坂峠への登り
石坂峠
石坂峠から下ると石坂集落に到着
松ヶ峯展望台
来馬の集落に到着

行程

小谷村郷土館
約50分 約50分小谷村郷土館から虫尾薬師堂までは平坦を含む緩やかな登りとなります。虫尾から峠を越えれば大きく下り、床固工沿いに歩くと下里瀬の集落に到着します。
下里瀬
約50分 約40分下里瀬から急な坂を登り切ると切り立った崖の難所として知られたフスベを通過。発電用の導水管や経塚を見ながら下れば池原の集落に到着します。
池原
約70分 約60分池原から石坂峠までは長い登りとなります。ここを越えて下ると石坂集落から浦川橋を渡り、松ヶ峯へ登り返して再び下れば来馬集落に到着します。
来馬
約90分 約90分来馬から風吹荘(温泉)などを経て緩く下りながら舗装路を進むと姫川を小谷橋で渡り、対岸の道を右手に進めば北小谷駅へ到着します。天神道越えへ向かう場合は、小谷橋の手前を左に進みます。
JR大糸線北小谷駅

詳細


天神道越えルート


古の雰囲気を色濃く残すのが天神道越えです。一方、真那板山の山体崩壊や蒲原沢土石流災害地など、災害史の縮図が垣間見れます。コースは歩きやすく、春にはカタクリの花が咲き、ヒメギフチョウが舞う光景が見られます。また、城の越の三峰様は盗難・火除けの神様として知られており、今でも大切に守られています。

城ノ越付近はカタクリの群落地だ
城ノ越に祀られる三峰様
猫鼻石仏群
葛葉峠への登り
葛葉峠から平岩へ下る

行程

JR大糸線北小谷駅
約60分 約40分北小谷駅から道の駅おたりを通過。島鉱泉から山道を登ると唐沢の石仏を通り、さらに林道を緩やかに登ると三峰様が祀られている城の越に到着します。
城ノ越
約40分 約50分城の越から細かなアップダウンを繰り返しながら砂山を通過、左手に大きな砂防堰堤を見ながら大きく下ると湯原集落に到着します。国道の横断は十分に注意して下さい。
湯原
約50分 約40分湯原から姫川沿いに進むと猫鼻石仏群・蒲原沢を通過、旧蒲原温泉から山道となり、ここから大きく登ると葛葉峠に到着します。トイレ・自販機があります。
葛葉峠
約30分 約50分葛葉峠から真那板山を望みながら舗装路を下り、白馬大仏を通過すると姫川沿いへの道へと分岐します。線路沿いの道をさらに進むと平岩駅に到着します。
JR大糸線平岩駅

詳細


大網峠越えルート


江戸時代の中期から荷継ぎ場所として栄えた大網集落と越後の山口宿を結ぶ古の峠道です。大網峠への道程には多くの道祖神や石仏が安置され、峠越えの過酷さを物語っています。長く急な登りか続くことから今でも上級者向けのコースとして知られていますが、変化に富み、特に秋の紅葉は目を見張る素晴らしさです。

大網六地蔵
横川吊橋を渡る
大網峠への登り
峠の下りから日本海を望む
白池の湖畔

行程

JR大糸線平岩駅
約50分 約40分平岩駅から姫川を渡り姫川温泉を通過。そこから舗装路をひたすら登ると大網の集落に到着します。なお、大網橋から荷換之峰を通る道は土砂崩落のため通行止めです。
大網諏訪神社
約150分 約145分大網集落から六地蔵を通過すると大きく下り、横川吊橋を渡ります。ここから菊の花地蔵・雪椿廊下・ウトウの道をたどると大網峠に到着します。
大網峠
約45分 約60分大網峠から頚城駒ヶ岳・鬼ヶ頭山・日本海などを望みながら大きく下ると雨飾山を正面に望む白池に到着します。ここにはトイレなどがあります。
白池
約50分 約70分白池から一本杉を通過、さらに舗装路を横切りながら山道を下ると山口(塩の道資料館)に到着します。途中、分かりにくい箇所があるので十分注意して下さい。
山口(塩の道資料館)

詳細


地蔵峠越えコース


奈良時代、和田の黒曜石や糸魚川の翡翠などを運んだ道が地蔵峠越えです。半年間は雪に閉ざされる峠道は大網峠越え同様、上級者向けの厳しい行程となりますが、所々から望む絶景、数多く残る石仏など、味わいのある道になっています。また、乱世における武田家・上杉家にまつわる逸話も多く残る道でもあります。

地蔵峠口からスタート
秋は紅葉が美しい
足場の悪い箇所もある
峠には東屋が建つ
地蔵金山脇を下り長者平へ

行程

JR大糸線北小谷駅
約160分 約130分北小谷駅より踏切を渡り舗装路を登ると深原集落に到着。さらに林道を登ると地蔵峠登山口(深原口)に到着します。非常に距離が長いので注意が必要です。
地蔵峠入口(深原口)
約95分 約70分深原口より緩やかに登ると地蔵峠に到着します。とても熊の多いところなので、熊鈴やスプレーなどを持参するなど、各自対策をお願いします。
地蔵峠
約160分 約180分地蔵峠から僅かに下り、沢沿いに登れば三坂峠(大峠)に到着します。ここから大きく下り、地蔵金山脇を抜けると間もなく長者平に到着します。
長者平
約110分 約150分長者平からは舗装された林道をひたすら下り、大網集落を過ぎれば平岩駅に到着します。地蔵峠越えはルートが長く時間が掛かるので、しっかりとした計画を立てて歩くようにして下さい。
JR大糸線平岩駅

詳細


鳥越峠越えコース


起点となる横川集落は海と陸を結ぶ重要な拠点でした。また、途中にある境の宮は、諏訪大社御柱祭の前年に行われる「薙鎌打ち神事」の開催場所です。このように、新旧の時流が混ざり合った独特の文化が形成され、他では味わえない雰囲気を感じられます。なお、峠道の途中から幻の峠「粟峠」への分岐があります。

長者平から横川へ降り立つ
横川集落跡を通過
地すべり地帯から殿行へ
雨飾山を望む
粟峠分岐から鳥越峠へ

行程

長者平
約70分 約60分長者平から大きく下ると横川の橋を渡り、しばらく進むと横川集落跡に到着します。ここから地すべり地帯の不安定な道を進むと殿行集落跡に到着です。
殿行集落跡
約40分 約30分人の往来で掘れたウトウを歩き、やや荒れた道を登れば粟峠への分岐を通過、さらに進むと鳥越峠に到着します。道が分かりにくい場所があるので注意して下さい。
鳥越峠
約45分 約55分鳥越峠からわずかに下ると林道となり、ここから更に進むと長野県で唯一、海が見える集落と言われる県境の廃村「戸土集落」に到着します。
戸土
約50分 約70分戸土から舗装路をひたすら下ると山口に到着します。このコースは整備が手薄なこともあり、下調べを十分に行った上、慎重に行動して下さい。
山口(塩の道資料館)

詳細


塩の道 三館めぐり


塩の道・千国越えコースの行程中には「小谷村郷土館」「千国の庄資料館」「牛方宿」の各資料館がコース上に点在しています。当時の貴重な資料を展示しており、歴史や雰囲気を感じるためにも、ぜひお立ち寄り下さい。

小谷村郷土館
千国の庄史料館
牛方宿

詳細

小谷村郷土館
郷土館は塩の道に関わらず、村の歴史や民俗に関する資料を数多く展示しています。土沢で発見された恐竜の足跡の化石や岩石なども展示対象になっています。
0261-82-3663

千国の庄史料館
千国関所跡にある史料館です。塩の道に関する物と当時の暮らしぶりが知れる物品が展示されています。
休憩所が併設されており、よい立ち寄り処になっています。
0261-82-2536

牛方宿
当時、牛方が宿泊していた施設が現保存された施設です。牛方の暮らしぶりなどを垣間見ることができ、三館の中で、当時の雰囲気を最も感じられる施設となっています。
0261-71-5610

入館料
各施設
大人 300円 ※中学生以下は無料
三館共通券
大人 500円 ※中学生以下は無料(団体は15名以上:一般 240円 小・中学生 無料)

休館日
火曜日(12-4月中旬の冬期は休館)


塩の道地図

塩の道の全ルート図です。GPSで記録されたデータを元に作図していますが、誤差などが生じる場合がありますので、参考程度にご利用下さい。なお、情報は随時更新予定です。