日本海側から太平洋側へ、古くは塩や海の物を運ぶための交易路だった塩の道。村内の各コースはいずれも保存状態がよく、安全にトレッキングを楽しめます。大網峠越えや地蔵峠越えは本格的な「登山」となりますので、しっかりとした装備と余裕をもった行動時間が必要になりますのでご注意下さい。

千国越え
「塩の道祭り」でも歩かれ、モデルコースの中で最も整備されており安心して歩ける道です。牛と牛方が一緒に寝泊まりした「牛方宿」や「千国番所跡」「小谷村郷土館」など、往時の文化や歴史に触れるポイントが多く、塩の道の入門には最適のコース。行程全体が下り坂となる松沢口からのスタートがおすすめです。
前山百体観音
コース中の難所となる親坂
行程

塩の道 三館めぐり
塩の道・千国越えコースの行程中には3か所の資料館が点在しています。当時の歴史や雰囲気を感じるためにも、ぜひお立ち寄り下さい。
小谷村郷土館
郷土館は塩の道に関わらず、村の歴史や民俗に関する資料を数多く展示しています。
土沢で発見された恐竜の足跡の化石や岩石なども展示対象になっています。
0261-82-3663
千国の庄史料館
千国関所跡にある史料館です。塩の道に関する物と当時の暮らしぶりが知れる物品が展示されています。
休憩所が併設されており、よい立ち寄り処になっています。
0261-82-2536
牛方宿(県宝指定旧千国家住宅)
当時、牛方が宿泊していた施設が現保存された施設です。牛方の暮らしぶりなどを垣間見ることができ、三館の中で、当時の雰囲気を最も感じられる施設となっています。
0261-71-5610
入館料:一般 300円 小・中学生 100円 ※三館共通券 500円
(団体は15名以上:一般 240円 小・中学生 80円)
休館日:火曜日(12-4月中旬の冬期は休館)

大峯越え
大峯越えコースは和平別れから高町越えコースの始点を結んでいます。7年に一度行われる諏訪大社の薙鎌打ち神事道でもあり、諏訪信仰にまつわる遺構が多く見られ、古の雰囲気を味わえます。幾つかの集落を結ぶ道は小谷村らしい雰囲気を残しつつ、洒落たカフェや店舗などを同時に楽しめるコースです。
大峯峠付近に見られるウトウ(堀割)
土谷諏訪神社
行程

高町越え
古くは大和王権時代より、姫川で採取されたヒスイを全国へ運び出す際に使用されました。また、諏訪大社御柱祭りの前年に行われる薙ぎ鎌打ち神事の舞台となるなど、見所が多いルートです。風雨鎮護を願い、信越国境にある御神木に薙ぎ鎌を打つ際の奉献品が通ることから、諏訪信仰が色濃く残る道になっています。
展望が開ける高町峠
荘厳な雰囲気の大宮諏訪神社
行程

石坂越え
小谷村の姫川西岸に点在する集落を結んで北上するのが石坂越え。対岸に雨飾山を望みながら、各集落と二つの峠を越えて進んでいきます。また、砂防のメッカと呼ばれる小谷村の砂防事業をよく観察できる道でもあり、浦川橋から望む稗田山大崩落と直轄砂防堰堤群は圧巻!様々な視点から楽しめるコースです。
池原集落周辺を歩く
浦川橋から望む稗田山大崩落
行程

天神道越え
古の雰囲気を色濃く残すのが天神道越えです。一方、真那板山の山体崩壊や蒲原沢土石流災害地など、災害史の縮図が垣間見れます。コースは歩きやすく、春にはカタクリの花が咲き、ヒメギフチョウが舞う光景が見られます。また、城の越の三峰様は盗難・火除けの神様として知られ、今でも大切に守られています。
城の越にたたずむ三峰様
猫鼻の石仏群
行程

大網峠越え
江戸時代の中期から荷継ぎ場所として栄えた大網集落と越後の山口宿を結ぶ古の峠道です。大網峠への道程には多くの道祖神や石仏が安置され、峠越えの過酷さを物語っています。長く急な登りか続くことから今でも上級者向けのコースとして知られていますが、変化に富み、特に秋の紅葉は目を見張る素晴らしさです。
紅葉の大網峠付近
秋の素晴らしい紅葉
行程

地蔵峠越え
奈良時代、和田の黒曜石や糸魚川の翡翠などを運んだ道が地蔵峠越えです。半年間は雪に閉ざされる峠道は大網峠越え同様、上級者向けの厳しい行程となりますが、所々から望む絶景、数多く残る石仏など、味わいのある道になっています。また、乱世における武田家・上杉家にまつわる逸話も多く残る道でもあります。
秋の静かな峠道
長者平から望む戸倉山方面
行程

鳥越峠越え
起点となる横川集落は海と陸を結ぶ重要な拠点でした。また、途中にある境の宮は、諏訪大社御柱祭の前年に行われる「薙鎌打ち神事」の開催場所です。このように、新旧の時流が混ざり合った独特の文化が形成され、他では味わえない雰囲気を感じられます。なお、峠道の途中から幻の峠「粟峠」への分岐があります。
横川から望む鳥越峠・粟峠方面
地すべり地帯を行くため通行止めも多い
行程