稗田山大崩落
小谷村の中心部を貫流する一級河川「姫川」の支流「浦川」の再上流部にある山体崩壊跡です。日本三大崩れのひとつに数えられ、現在でも崩落が止まる気配はありません。ここから永遠に土砂が供給され続け、終わることのない浦川の直轄砂防事業は砂防のメッカを象徴する現場のひとつです。当地へのアクセスは未舗装路を含みますので十分にご注意下さい。
※村道(西山線分岐-金谷橋間)土石流被災のため当面の間は通行止めになります。
【ストーリー】
1911年8月8日の深夜、稗田山が崩壊。これを要因とした土石流が発生、下流部の集落を次々と埋め尽くし、死者26名を出す甚大な災害となりました。これから遡ること8か月程前、山に亀裂が入ると共に怪しい振動や共鳴が数時間、数日間を隔てて発生していましたが、漸く8日になって山鳴りが発生。凄まじい強風と山のような土砂が猛烈な加速を伴って流出、赤抜山の側壁に衝突し石原の集落を壊滅させ、更には松ケ峯の小尾根を越えて姫川本流を堰き止めました。これにより生成された長瀬湖は現小谷村の下里瀬付近まで湛水させましたが、同日夜半に大決壊を起こし大きな被害を与えました。
稗田山周辺の地盤は溶岩と火砕物の互層となっていることに加え、温泉による影響を受けたモンモリナイトという粘性鉱物が多く存在しています。この鉱物は内部摩擦係数が極端に低く、山体崩壊を発生させる要因となっています。
詳細
発生年月日 | 1911年8月8日(明治44年) |
災害種別 | 土石流を伴う山体崩壊 |
発生要因 | 降雨(詳細不明) |
流出規模 | 1.5億立方メートル以上(推定値) |
被害 | 死者23名 行方不明3名 全壊18戸 床上浸水147戸など他多数 |
蒲原沢土石流災害跡
小谷村と新潟県糸魚川市との県境を流れるのが蒲原沢。ここで発生した時期外れの土石流は14名の死者と重軽傷者9名を出し、近年では稀に見る大災害となりました。この災害の特異点は前述の通り時期外れの土石流であり、非常に予測が難しい状態であったと言えます。なお、この事故以降、砂防工事に無人化工法が取り入れられるきっかけになった災害でもあります。
【ストーリー】
1996年12月6日午前10時半過ぎ、国道148号(現小谷村道湯原北線)の国界橋上流の標高1,300m地点で山腹崩壊型土石流が発生、付近で工事をしていた作業員が流され14名が亡くなりました。数日前まで40cmほどの降雪がありましたが、日本海側を通過した低気圧の影響で50mm近い雨が降り、比較的気温が高かったことから堆積していた土砂に融水が滞留、隙水圧が上昇し臨界点を迎えたことにより一気に流れ出したとされます。救出作業には陸上自衛隊の各部隊や東京消防庁のハイパーレスキュー隊・地元消防団・各種団体の救出部隊など約1,600人態勢で行われ、流出した大量の土砂や2次災害の危険性に捜索は難航しましたが、12月14日までに13人の遺体を収容。その後、本格的な冬を迎えたことにより捜索を一時中断、翌1997年春に再開し同年5月16日に最後の行方不明者の遺体を発見しました。
詳細
発生年月日 | 1996年12月6日 |
災害種別 | 山腹崩壊型土石流 |
発生要因 | 積雪および降雨 |
流出規模 | 39,000立方メートル以上(推定値) |
被害 | 死者14名 重軽傷者9名 谷止工2基 砂防ダム2基破損など |
真那板山大崩落
真那板山は小谷村の中心部を流れる東側に位置し、直下を通過する糸魚川静岡構造線の影響を大きく受けた地質となっています。そのため非常に不安定で、様々な作用を受けて崩落したものと見られます。特筆すべき点としては、人間のスケールを遥かに超える崩落が発生し、対岸に堆積段丘(葛葉峠)を作り上げたことです。この様子は現在、国道より俯瞰することができます。
【ストーリー】
標高1,219mの真那板山山頂付近から発生した大規模な山体崩壊は姫川を大量の土砂で埋め尽くし、上流約5kmまで湛水させ、形成された堰き止め湖は数十年に渡り存在したと考えられます。真那板山は堆積岩の砂岩や泥岩のほか、チャートが熱により変成した接触変成岩、また火成岩となる安山岩や両方の性質を持つ蛇紋岩などで構成されています。この地域は糸魚川静岡構造線の影響を大きく受けており、全体が複雑に砕かれた乱雑な堆積物質となっていることから不安定な地形となっています。ここに外因的要因が加わって大きな山体崩壊を発生させたと考えられます。従来は越後南西部地震(M6.5-7/推定)が要因とされていましたが、近年の研究や堆積した土砂から採掘された樹木の年輪がその年代と一致しないことが判明しています。このことから、もともと軟弱な地盤に温泉の作用で更に脆弱化し、支持力を失った地盤から一気に崩落したと考えられています。
詳細
発生年月日 | 1502年(文亀元年) |
災害種別 | 山体崩壊 |
発生要因 | 温泉作用による地盤の脆弱化 |
流出規模 | 5,000万立法メートル以上(推定値) |
被害 | 湯原-来馬間水没(湛水量1.2億立方メートル以上) |
砂防ダムカード 配布
令和5年8月9日(水)よりを新しい砂防ダムカードが配布されます。新たに発行する小谷村内の砂防ダムカードは「常蔵沢砂防堰堤」「栂池沢第3号砂防堰堤」「宮沢大草連砂防堰堤」「ガン沢砂防堰堤」の4種になります。
なお、配布箇所は下記の通りです。
堰堤名 | 配布箇所 | 休み |
常蔵沢砂防堰堤 | 道の駅おたり | 水曜日 |
栂池沢第3号砂防堰堤 | 栂池観光協会 | 無休 |
宮沢大草連砂防堰堤 | おたりつぐら | 無休 |
ガン沢砂防堰堤 | 小谷村観光連盟(小谷村役場内) | 土曜日・日曜日 |
立の間砂防堰堤 | 道の駅白馬(8月下旬から) | 不定休 |
シークレットカード | 県姫川砂防事務所および各配布箇所 | 土曜日・日曜日 |
※休日対応は一切行いませんのでご了承のほどお願い致します。
※業務中は対応が難しい場合がありますので、ご配慮のほどお願い致します。
※原則1人1枚の配布になります。
※小谷村観光連盟が実施する砂防ダムツアー参加者には4種すべてのカードが配布されます。
※すべてのカード(5種)を集めるとシークレットカードがもらえます。
なお、砂防ダムカード、シークレットカードの交換は当地でのみとなりますが、下記の条件を満たした場合のみ郵送での対応を行います。
砂防ダムカード:訪問先の各施設を撮影した画像
シークレットカード:全てのカードを撮影した画像
を添付して送信または郵送し、かつ切手を貼った返信用封筒が提供された場合にのみ、カードの返送に対応させていただきます。
郵送先
〒399-9494
長野県北安曇郡小谷村中小谷丙131番地 小谷村役場内
一般社団法人小谷村観光連盟
※「砂防ダムカード申請」とご記入願います。
※切手を貼った返信用封筒が同封されていない場合、砂防ダムカード、シークレットカードの送付には応じませんのでご承知置き下さい。
村内の主な砂防堰堤
湯原/北湯原沢 北湯原砂防堰堤
透過型鋼製スリット堰堤
管理:県姫川砂防事務所
李平/常蔵沢 常蔵沢砂防堰堤流路工
ボックスカルバート流路工
管理:県姫川砂防事務所
来馬/ガン沢 ガン沢砂防堰堤
透過型鋼製スリット・スクリーン堰堤
管理:県姫川砂防事務所
奉納/土谷川 奉納砂防堰堤
透過型セル式堰堤
管理:県姫川砂防事務所
下里瀬/大雪倉沢 車坂砂防堰堤
半透過型鋼製フレーム堰堤
管理:県姫川砂防事務所
土倉/日かげ沢 床固工群
床固工
管理:県姫川砂防事務所
里見/黒川沢 黒川沢里見第2号砂防堰堤
透過型鋼製旧格子型堰堤
管理:県姫川砂防事務所
千国/西親沢 西親沢千国第6号砂防堰堤
不透過型コンクリートブロック堰堤
管理:県姫川砂防事務所
中谷/カクレ沢 中谷東砂防堰堤
不透過型鋼製枠堰堤
管理:県姫川砂防事務所
石坂/浦川 浦川スーパー暗渠砂防堰堤
透過型スーパー暗渠堰堤
管理:国土交通省松本砂防事務所
月岡/月岡沢 月岡沢砂防堰堤
透過型鋼製スリット堰堤+人工地山
管理:県姫川砂防事務所
黒川/南黒川沢 南黒川沢砂防堰堤
半透過型砂防堰堤
管理:県姫川砂防事務所
砂防堰堤配置地図
順次更新
【注意】
砂防堰堤は土砂災害等から地域住民を守るために配置されており、そのほとんどが危険な場所にあるため基本的に立入禁止です。多くの方々に関心を持っていただきたい反面、事故が発生するとそれすらも叶わなくなりますので、無理をせず安全な場所から見学して下さい。
また、堰堤へ続く林道や河川道路・工事用道路は悪路・急勾配・狭小区間などがあり整備も不十分です。林道のゲートなどを越えて無暗に立ち入らないようご注意下さい。